出版業界の調査研究機関である出版科学研究所の発表によると、
2018年の紙の出版物全体の推定販売金額は
前年比5.7%減の1兆2,921億円と、
ついにピークであった1996年(2兆6,563億円)の
半分以下に落ち込みました。
1兆2,900億円と言われても、なかなかピンとこないですよね。
ちなみに、静岡県の平成30年一般会計予算が1兆1,872億円、
ビルゲイツの全盛期(2013年)の年収が1兆6,635億円ですので、
これらとほぼ同じ水準ということになります。
(これでもピンとこないかもしれませんね_笑)
何れにしても、紙媒体の売り上げは全盛時の半分にまで
落ちてしまったわけです。
その一方で、電子市場は前年比11.9%増の2,479億円。
まだ紙市場との規模の差は開きがありますが、
14年連続で前年比割れを起こしている紙に比べ
電子は着実にシェアを拡大しています。
と言っても、その8割(1,965億円)はコミックスで
残り2割が電子書籍(321億円)と電子雑誌(193億円)
という内訳になっています。
電車の中をリサーチしているとよくわかりますが、
Kindleなどのタブレットで文字物を読んでいる人は
ほとんど見かけません。
たまに見かけたと思ったら、大抵はコミックスですよね。
出版全体で見ると、紙プラス電子で1兆5,400億円。
これは市場的には3.2%のマイナスですが、
実はビジネス書自体は落ち込んでいません。
相対的に、雑誌は下落に歯止めがかからない状況です。
最も顕著なのは、やはりコミックスの紙から電子への
読者の移行がシェアや売上数字に反映されています。
そして、ネットから容易に情報が得られるようになったこと。
これらの要因により出版売上が下降線をたどっている
という状況は、ここ数年変わらない傾向です。
だからと言って、出版文化はこのまま衰退の一途にあるのか、
というと、そうでもありません。
果たして、出版業界にどのような新たな波が来ているのか。
その一端となるお話については、次回お伝えしたいと思います!
(次回配信予定:2月21日。多少前後する場合があります)
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